〜アクア編〜



オレはアクアの後をついていった。アクアは気づいたのか、後ろのほうに目をチラッとやるとすぐにまた前を向き歩き出した。
まったく相手にされていないらしく、ズカズカと歩いていく。
オレは急いでアクアに追いつこうと小走りになった。追いついたオレはアクアの顔を覗き込もうとした。
シュッッ!!!・・・
首筋に刀がつけつけられている。
「何をしてる?」
「いやぁ・・・^^;具合でも悪いのかと思って・・・」
アクアは、そっと刀を下ろした。
「余計な心配はしなくていい」
そう一言いうと、また黙って歩き出した。
アクアは町にではなく森に向かって歩いている様子だった。
色はたまらず・・・
「町で聞き込みはしないでいいのか?」
とたずねると、
「それくらいのことは、すでにし終わっている」
と鼻で笑った。
「でも、なぜ森へ?」
横目でオレをチラッと見ると仕方なさそうに、
「情報を教えてくれる代わりに、依頼をまかされたんだ」・・・
アクアは続けてこう言った。
「この森の中にある『ライトストーン』というのを探してきてほしいという依頼を」
(だから森の中に来たのかぁ)
オレは納得した。
アクアはオレたちが、怪我の後休んでいる間にも、一人で情報収集をしていたらしい。
朝早くからいなくなっていたのも、これでうなずける。
森に着いた。
まだ、お昼前だというのに、周りは薄暗く・・・かなり不気味だ。
アクアは、そんなことも気にせずに進んでいく。
オレも探しているフリはしているが、『ライトストーン』自体見たこともなければ知りもしない;;
アクアは、それに気づいたのか、また仕方なさそうにその意思がどういうものか教えてくれた。
そのおかげでなんとなくわかったオレは、アクアと同じように探し始めた。
その石はなかなか見つからない・・・
そうこうしているうちに洞窟の前まできていた。
心の中で
(ここだぁ!!!ここに間違いない・・・うん!間違いない♪)
という、ゲームでありがちな展開とごっちゃにしながら、アクアに言った。
アクアはすぐに
「あの石はこういう場所にはな・・・」
アクアがすべてを言う前に、色は言って勝手に中に入って行った。
「はぁ・・・」
ひたいに手をやりながらタメ息をつきつつ、アクアも中に入って行った。
しかしその態度とは裏腹に、かすかに微笑んでいた・・・(ん!?・・・これは・・・)
火を持っていないのに入ったのはやはり間違いだったかもしれない。
アクアは慣れているようで、平然と歩いている。
オレは、つまづきながらやっとこさ歩いているというのに・・・
「待てっ!!!」
急にアクアは強い口調で言い放った!
アクアは、目を細め遠くへ目線をやった。
「何かいる!」
そういうと刀を持ち、奥のほうへ突っ込んでいった。
「ま、まてっ」
と色が言い切る前にアクアは深い闇の中に消えて行った。
心配した色は、急いであとを追いかけていた。が!・・・
心配は無用だったようである。
アクアの周りに大きな吸血鬼が大量に横たわっている。
「あははは・・・やっぱオレは必要ないようで^^;」
アクアは、チラッっと横目で見ると
「さらに、奥へ行くぞっ!」
と言い、スタスタ歩いて行った。
アクアの顔を見ると、少し笑っているようにも見えた・・・まぁ、関係ないけどね^^;
奥へ奥へと進んでいくと、小さな光が見えてきた。近づくにつれて光が差し込んでいく。
ぱぁ〜っとまばゆい光が・・・
まぶしい・・・;;
だがしだいに、光に目が慣れてきた。
そこは、きれいな小さい湖が広がっていた。
小さな滝まであり、そこには小さな虹もかかっていた・・・
絶景とは、こういうものを言うのだろうとオレは思った。
さすがにこの光景には、アクアも感動しているらしい。
・・・って、こういうことを行ったら絶対殺されるだろうと、ふと思った。言うわけないし(笑)
オレたちの足は自然に、その湖のほうへ向かっていた。
近づいてみてもやはりきれいだ。
オレたち二人はここで少し休憩をすることにした。
アクアはここで、少し水浴びをしたいと言い出した。
オレは、見ないように他の所を・・・いや^^;・・・バレないように他の所へといった方がいいだろう^^;
覗きをやらないのは、逆に失礼というものだろう。(ふっふっふ♪久々の役得役得☆)
オレは気配を殺し(こういう時だけ、気配を消せるらしい♪)
アクアが水浴びをするのを持った。・・・少しチラッと覗いてみた。
アクアの服がきれいにたたまれて、石の上に置いてある♪(@▽@)/キランっ☆
色の目が光ったような気がした。
ここぞといわんばかりに、木の陰からこそっり覗いた・・・
アクアのきれいな白肌の背中が見える♪(こっちを向くのだぁ〜♪前を向くのだぁ〜♪)
そう念じた瞬間にアクアがこっちを向こうとしていた。(久々のご都合主義バンザ〜イ☆)
しかし、アクアが完全に振り向く前に・・・はっ!!!
色はすぐに木の陰に隠れた。野生的感が少しでもアクアの視界に入ってはならんと、つげていた。
・・・しかし覗きたいパワーに勝てるほどの、精神力は残念ながら持ち合わせてない;;
そぉぉ〜・・・んっ・・・あれっ?・・・アクアの姿がない
っていうか、アクアの服までもがなくなっている。
その時、真後ろから
「歯をくいしばれ〜」
とやたらにやさしい声が・・・
背筋が凍りつくような感じを覚えた(;▽;)
(ふっ・・・負けたぜステファニー♪(誰っ(笑)さぁ〜思いっきり打ちたまえ)
オレは服従のポーズといわんばかりに、大きく手をあげてにっこりと笑って後ろを振り返り一言・・・
「やぁ〜♪アクア」
思った通りだった。
勢いよく、ハリセンがオレに向かって飛んでくる。
久々のハリセン・・・そ、走馬灯が・・・アクアだったらハリセンで首ぐらい飛ばせそうだなぁとか思いながら
もう、目の前にハリセンが・・・(ごめんよステファニー(だから誰?)もう終わりさ♪)
オレは、思いっきり目をつぶった。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
ん?
いつまでたっても、衝撃がこない。その代わりに笑い声が聞こえてくる。恐る恐る目を開けてみた。
アクアがお腹をおさえながら、がんばって声をこりしながら笑っている。
肩を震わせながら・・・
オレと目が合うと、こらえられなかったらしく声をあげながら笑った。
アクアがこんなに大きく声を出して笑うのは初めてみたかもしれない・・・
「んんっ・・・」
笑いをこらえながらアクアは
「おまえといると飽きないな・・・」
また、大きく笑い始めた。
何が何だかわからないけど、オレも大声で笑ってみた。
二人はどのくらい笑いあっていたのだろう。
笑いすぎて疲れてしまった(笑)
「ふぅ〜・・・」
二人のため息が重なる。
「オレこんなに笑ったのは久しぶりだよ」
「私は・・・初めてかもしれないわね・・・」
目をアクアに向けると、アクアはにっこりと笑ってみせた。
・・・オレは思わず思っていたことを口に出してしまった^^;
「かわいい・・・」
・・・なっ!?!?
アクアの顔は、見てすぐわかるくらいに真っ赤になっている。
「ばっ、バカ」
下にうつむいたままアクアは言った。
この状態が数分続いた。
急にアクアが口を開いた。
「ど・・・どうして、そういうことを言うの?」
「えっ?・・・ご、ごめん・・・そう想ったから・・・」
つい口をすべって声に出して言ってしまった事を、すまなさそうに色は答えた。
アクアは黙って首を横にふる。
別に迷惑じゃない、少し困るけど・・・
オレは何を言おうか戸惑った。
「ずっと立っているのもなんだし座ろうか?」
少し気まずい雰囲気だったので、オレはアクアに背を向けるようにして座った。
・・・トンっ!・・・
背中に何か重いものが寄りかかってきた。
アクアだった。
背中と背中を密着させて、寄りそって座ってきたのだ。
オレはすごいドキドキした。アクアにこの音が聞こえてしまうのではないかと、思うくらいに・・・
いったいどのくらいの時がたったのだろうか・・・
もう、日が落ち始めていた。
オレは小さな声で
「けっきょく、石は見つけられなかったね」
アクアも同じく小さな声で
「手を出して・・・」
ん!?
オレは意味がわからなかったが、素直に手を後ろのほうへ伸ばした。
何かが手のひらの上にのかかった。
それを握り締めて、自分のほうに持っていき手を開いてみた。
これは・・・色が握り締めていたものは、まさしく探していたあの石であった。
思わず後ろを向き、アクアの顔を覗き込むようにして
「ど、どうしてこれを?・・・」
「本当は、洞窟を入った直前に見つけていたの」
「だったらなぜ、拾ったことを早く言ってくれないのさぁ・・・」
アクアは少し困ったような顔をして
「わからない・・・」
「でも、話したら終わるような気がして」
なんだ!?色は理解するのに戸惑った。
アクアは続けて、
「変かもしれないけど、何か楽しくて・・・もっとつづけばいいなぁって・・・」
この言葉で理解した。アクアは、少しでも長くオレと一緒に居たかったのだ。おそらく・・・
「アクア・・・おまえもしかしてオレのこと好・・・」
そこまで言いかけたとき、急にアクアが立ち上がって、クスクス笑い出した。
えっ?・・・(オレ何か楽しいこと言ったか?^^;)
「な、何をまともに受け取ってるの・・・冗談に決まってるでしょ。ちょっとからかってみたの」
「あなたがあまりにも、真剣な顔をするもんだからこらえきれなくて・・・」
・・・・・・
「なんだよぉ!まぁ・・・そんなことだと思ったぜぃ」
色は強がって言ってみせた。
(でも、アクアが冗談を言うか?あおえwに『あなた』って・・・そんな呼ばれ方一度もなかったような・・なぜ?)
(まぁ、今日のアクアは異常に変だったからそのせいかもな・・・)
自分で勝手に理解し解釈した。
アクアの呼吸が荒い、目線も合わせようとしない・・・なによりも顔が耳の先まで真っ赤である。
それを感じとった色は、やっぱり・・・・・・
何かを思いついたが、静かにその考えを心の奥にしまった。
色はアクアに、にっこりと笑いかけると
「もう、日が暮れる。そろそろ帰ろうっか?」
アクアは何も言わずに、コクリとうなずくと・・・
色の手を握った。
えっ!!!・・・オレはびっくりした。
「薄暗いから、ま・・・迷ったら、め・・・面倒だから・・・」
声が微妙に裏がえっている。
オレは思わず、クスって小さく笑った。
それをアクアに気づかれたのか
「き、今日のことを明日も覚えていたら殺す!」
と、声は裏がえっているが強い口調で言った。
「あぁ・・・わかった」
アクアはさっと前を向くと、色の手を強くひっぱりながら歩き出した。

「いっ、痛いよ、アクア」

・・・「う、うるさい。さっさと歩け」

「もっと、ゆっくり歩こうぜ」

・・・「日が完全に、暮れてしまう前に早く帰らないと」

「でも、アクアはゆっくりの方がいいのでは?(笑)」

アクアの顔が、再び赤くなるのがわかった。

「なっ・・・なにぃぃ!!!こ、殺すっ!!!」

二人は、こんな変なやり取りをしながら、森の中へと消えて行った。





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