〜ヒノメ編〜



オレは、ヒノメについて行った。
ヒノメは、やっぱりと言わんばかりに、すっごい笑顔で
「やっぱり、こっちに来てくれたですぅ」
と一言・・・オレは、不覚にもちょっとドキッとしてしまった。
ヒノメはこっちに来ることを、わかっててくれたんだ・・・と感動したのもつかの間^^;
「こっちには果物がたくさんあるからねぇ・・・食いしん坊さんですねぇ♪」
「ヒノメのにらんだ通りです・・・えっへん!」
こうして、色の甘酸っぱい恋の予感はきれいさっぱりに消え去ってしまったw
ヒノメは、町の中を巡って情報を集めるみたいだ。町の中の大通りに向かっているご様子で・・・
こうして、ゆっくりと町を見回して見ると、なんて古風な作りの町なんだろうとしみじみ思う。
現実世界の下町のような雰囲気が漂っている。筋道を抜けると、すぐ大通りに出た。
大通りには、たくさんの観光客らしき人が、あっちの店からこっちの店へと忙しく動いている。
オレたち二人はまず、お店の人と話を聞こうとした。そこで驚く現象がおきた!!!
こっちから声をかける前に、お店の主人らしきひとから声がかかってくるのである。
「おっ!ヒノメちゃん今日も何かのお手伝いかい?」
ヒノメは慣れたと言わんばかりに、
「今日は、お手伝いは休みですぅ」
と、にっこりあいさつをした。
オレは、小さな声で
「おまえ、ここの店の主人と知り合いなのか?」
「そうですぅ♪おとついここで、お手伝いしたです☆少しの間、店番をしてましたぁ!」
と笑顔で答える。
ヒノメは、さっそく情報収集を始めた・・・真剣な顔つきではじめた・・・最初のうちは・・・
5分もたたないうちに、談笑に代わり、お店の主人とヒノメの二人は大声で笑い出した。
「わっはっはっは!」
「そうですぅ♪おいしいですよねぇ!」
・・・・・・・・・・・・・
いつの間にか、食べ物の話になっていたらしい^^;
オレは、ヒノメの服をひっぱり、目でもう行くぞ!と合図をした。するとヒノメは、困った顔をして
「もぉ、しょうがないですねぇ・・・お腹がすいたなら、ちゃんと言えばいいのにぃ♪・・・」
と、言いながらりんごをひとつ渡してくれた
まったくもって、こちらの考えをまったく理解してないらしい!
オレは、
「もう、他の人のところに情報を聞きに行こうぜ!」
と言った。
ヒノメは、ちょっと残念そうに、その店のご主人に別れを告げた。
が!!!・・・それでは、終わらなかった;;
行く場所行く場所で、こっちから話を切り出す前に、店のご主人の方から、声をかけてくる!
しかもちゃんと、名前を付けて話しかけてくる・・・そう!ヒノメという名前付きで
そのたんにびに、ことごとく先ほどと同じようなことが始まる・・・そう!ただの世間話だ^^;
最初のうちは、ヒノメも聞く気満々だが、数分のうちに談笑になってしまし、しかもこっちが中に割って入らないと、いつまでたってもその話は終わらない;;
ある時は、花屋さんと・・・ある時は、雑貨屋さんと・・・果物屋さんと・・・八百屋さんと・・・
その時に、今日ヒノメが持っていた、果物の出所がわかったような気がした!
女神像の前でみんなで集まる前に、先ほどの果物やさんでお手伝いをしていたらしい・・・きっとその時のお礼だろう。
ヒノメは、なんとこの町に居る間で、いろんなところでお手伝いをしていたらしい。
急に消えて、また急に帰ってきたりしていたのは、きっとこのためだったのかな?と理解することができた。
オレたち二人は、大通りの店という店をすべてに立ち寄った。
しかし、情報はゼロだった;;
いつの間にか、夕暮れになっていた・・・オレたちは、ぐったり疲れてしまっていた。
町の中がけっこう広いというのもあったが、人の多さにまいってしまっていた。
「どっかで、ひとまず休まないか?お腹も空いたし」
「いいですよぉ!休憩するですぅ♪」
オレは、適当な場所を探してあたりを見回していると、ヒノメが急に手をひぱってきた!
「こっちですぅ♪」
言われるがままに、ヒノメにひっぱられていくと、小さな路地を抜け右へ左へ・・・
気がつくと、小さな広場に出た。
真ん中には小さな噴水がぽつんとあり、上を見上げると回りは壁ばかりで、空が少しだけ顔をのぞかせていた。
二人は噴水のふちのところに、腰をかけた。
「この場所は、ヒノメが見つけた特別な場所なんですよぉ♪」
と、急に話かけてきた。
「ここの場所は、秘密ですからねぇ♪」
・・・・・・
「オレには、秘密にしないでいいのか?」
すると、ヒノメは、えっ!?という表情をした後に、空を見上げながら
「ん・・・二人の秘密ってことにしておきましょう♪」
と一言。
ヒノメの顔を見ると、夕日のせいかどうかわからないけど、ほんのりとほほを赤く染めていた。
オレは、変なのぉ・・・と思いながらも、
「お腹空いたな・・・」
・・・・・・
「これを、一緒に食べるですぅ♪」
と言い、果物を取り出して二人で食べた。
お腹がいっぱいになると眠くなるものだ。オレは、大きなあくびをした・・・
やはりあくびはうつる?ものなのかはわからないし、どうでもいいことだがつられてヒノメも大きく腕を上に伸ばしあくびをした!
そのときである!!!
腕を大きく上げたまま、ヒノメが噴水のほうへ倒れていく^^;
そう!バランスを崩したのだった・・・
その時は、ものすごいスローモーションに時間が流れていったような気がした!
オレは、考えるよりも早く体が動いていた・・・ヒノメを噴水とは逆の方向へ突き飛ばした!!!
しかし、その反動で自分は噴水の中へ・・・《ちょっと男らしいかな♪オレってw》・・・
そう思ったのもつかの間!ヒノメがオレの腕をひっぱって助けようとしていた。・・・しかも片手で^^;
もう片方の手には、しっかりと食べかけのリンゴを握り締めている。片手でヒノメが支えられるわけもなく・・・
二人とも噴水の中へ、まっしぐら・・・バッシャーン!!!
大きな音とともに、噴水の中へ落ちた。
ヒノメのリンゴを持った手は、ボクシングでチャンピョンになったと言わんばかりに、その手だけリングをが濡れないようにしっかりと水面からでている。
オレは、起き上がりヒノメの手を引き、起き上がらせた。二人ともびしょびしょに濡れていた。

「おい!^^;どうして助けたのにお前も落ちたんだよ!」

「身体が勝手に動いたんです・・・」

・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
長い沈黙
すると急に抱きしめられた・・・そう、ヒノメに・・・

「えっ・・・えっ!?・・・ど、どうしたのヒノメ」

ヒノメは黙ったままだ。
オレはどうしていいのかわからずにいると

「なんとなくです・・・」

と、小さな声で・・・今までのヒノメとはまったく雰囲気が違う。
さらに続けて・・・

「寒いから抱きしめて・・・」

・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・

オレは、戸惑い・・・無駄に宙に舞う2つの腕が悲しい;;
どうしていいかわからずにただ宙にまうだけ・・・《よし!!!》
オレは、おもいっきり抱きしめようと決心し抱きしめようとした!
しかしその時、ヒノメはオレから離れていった・・・
顔はうつむいたままだ。・・・しかし急に顔が上がった!
いつものヒノメに戻っている^^;

「びっくりしたですかぁ?」
「寒いから二人で、おしくらまんじゅうして暖まろうとしたのにぃ・・・もぉw恥ずかしがり屋さん♪」

と、完全にいつもの口調で話しかけてきた。
オレは、一瞬戸惑ったがすぐに
「今、抱きしめてやろうとしたのにw」
と、照れを隠しつつ大きな声で言った。
「早く抱きしめてくれないから、寒かったじゃないですかぁwもぅ、プンプン♪」
「風ひくといけないから、そろそろ宿に帰るか?・・・ヒノメ?」
「うん♪かえってお風呂に入るですぅ♪・・・覗くなよぉw」
と冗談も交えつつ・・・《いつものヒノメに戻ってるじゃないか・・・良かった良かったw》
オレは、立ち上がりヒノメに手を差し伸べ立ち上がらせた
そのまま勢いで、オレにぶつかりそうになってしまった!
しかし、オレにぶつかる瞬間にヒノメは、身はくるっと軽く返しきれいによけた・・・
よけたと同時に耳元でかすかに・・・

「ありがとう・・・色」

《えっ!?》

勢いよく振り返ってみると、ヒノメはいつも通りにはしゃぎながら
「勇者さん帰りますよぉw置いてっちゃうぞぉw」
と大きく手を振っている・・・《さっきのは空耳?》
ヒノメはオレの手を取り 「さぁ♪みんなの下へレッツラゴーですぅ♪w」
と勢いよくひっぱった・・・オレにさっきのことを考えさせてくれる間もあたえすに^^;
こうして、二人はすでに日が落ち暗くなった、道へと消えていった!





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