第四話



二人は、森の中を旅していた・・・いや!迷っていた^^;
隣の村までは、長い一本道だった。そう!一本道。ヒノメがあんなことを言わなければ、今頃こんな森の奥にいることはなかったのだ。
数時間前・・・オレたちは、普通に道を歩いていた。まぁ〜、けっこう楽しくおしゃべりをしながら歩いていたのだ。
ヒノメは、この道は何もなく安全極まりない場所なんだと言う。
でも、唯一の欠点は隣の町までかなりの遠回りになるらしい!そこでヒノメは、オレに提案を持ちかけてきた。
近道をしようと言い出したのだ。笑顔のうえに、自信満々の様子だったし、オレも少しは冒険みたいなことをしてみたいと思っていたところだ。
そこで、オレはすぐに
「オレも少しはスリルが味わいたいし、近道してみるか!」
と、安易な気持ちで了承した。
ヒノメは、
「はい!がんばっちゃいますぅ♪」
と、頼もしい限りなのだ。もっとこの、『がんばっちゃいますぅ』 の意味を考えればよかったと今後悔しているところだ^^;

ヒノメのがんばるの意味は、たしかに道案内をがんばるって意味だったらしい。
そう・・・道案内。普通道案内と言えば、よく知っているところを他人によくわかりやすく説明し、その人行動を手助けするものだとオレは思っていた。
たしかに、ヒノメはよく状況を説明してくれている・・・この植物は、危険なんですぅ〜とか、その生き物は危ないですよぉ〜とか、ここはどこなんでしょうかねぇ〜?とか・・・
たしかに、説明は・・・説明はしてくれている。しかし、
『ここはどこなんでしょうかねぇ?』
っていったい・・・
オレは、尋ねてみた!
「ヒノメ!おまえここの近道はいつも使っているのか!?」
ヒノメは、すぐに答える。
「えっ!初めてですよぉ〜♪冒険みたいで楽しいですねぇ〜☆」・・・《な・な・なんですとぉぉぉぉ〜ヽ(×□×;)ノ》
《この娘は必ず大物になると確信しつつ、この天然さにあきれていた》
そもそも、ヒノメの提案を受け入れてしまった・・・いや!ヒノメと旅をしている時点で間違い!
もといすごい冒険をしているのと、なんの変わりもないのだ。《この行き当たりばったりの冒険なんとかしてくれ〜》
と心のなかで叫んだ⊂(゚Д゚,,⊂⌒`つ
そんなこんなで、今は深い森の中にいる。まだ昼ぐらいなはずなのに、辺りは薄暗い様子だ。その薄暗さに反してヒノメは、明るい!すっごい笑顔でこの森の中の、冒険を・・・道案内を楽しいんでいるようだ。
ヒノメは、本当に楽しいそうだ。初めて見るものをみつけては、
「これってなんなんでしょうねぇ〜?」
とか、
「この花かわいい〜ですぅ♪」
とか、しゃべりながらどんどん歩いていく・・・そしてどんどん深みにはまっていくようだ。
正直、方向感覚はすでにマヒしている。オレは、ただ単にヒノメの後を追っているにすぎない。
あれよあれよとしている間に、もう夜になったらしい。今日はこの森で野宿らしい。生まれてきて、初めての野宿を味わうことになった。
まぁ〜、キャンプみたいで楽しいだろうなと思った。
実際は、いつ変なものに襲われないかと、ドキドキして全然眠れなかったのだけれど・・・ヽ(×□×;)ノ
食べ物は、ヒノメの村から出る時に多少は持ってきていた。今日は、その食べ物を食べることにした。
食事をし終えると、ヒノメはさっさと眠ってしまった。まったく、緊張感のない娘だと思いつつも、この緊張のなさを少しうらやむ色だった。
オレは全然眠れない。
正直言って、この見知らぬ森で寝てしまうのは危険だと、野宿初心者のオレでもなんとなく感じとれた。
それをよそに、ヒノメはぐっすり寝ている。オレは《今すぐにでも、起こしてやりてぇ〜!!!》
と心で叫びつつも、その無邪気な寝顔に見とれてしまっている。
今さら言うのも、恥ずかしいがヒノメは、はっきりいってかわいいと思う。最初はいろいろばたばたしていて、ちゃんとは気に留めていなかったが・・・
こんなにかわいい子は、初めてみたような気がする。オレは、ヒノメの顔をまじまじと見つめる。本当にかわいい♪
《どさくさに、まぎれてキスしてしまおうか^^》
《そんなこと、やってはいけない!いけないのだ!》
色の心のなかで、変な戦争がおきている
(キスしちゃえ♪ぼそっ!ご都合主義主犯格より(ノ≧∀≦)ノ(笑)
ヒノメの唇に、後少し!というところで我に返った。ヒノメが、泣いているのだ。オレはドキドキした。
《もしかして・・・オレがキスしようとしたからか^^;》・・・
だが、それは違ったようだ。
ヒノメは夢を見て泣いている様子だ。うわごとで、
「お姉さん・・・ど・どうして・・・」
あまりにも小さくて、それ以上は聞き取れなかった。
ちょうど、旅に出る前に、ヒノメに質問したことがあった。ヒノメの家には、ヒノメ以外に人が居ないことに少し疑問をもったオレは、少しためらったが聞いてみたのだった。
いつも、ニコニコしていたヒノメは少し笑顔がなくなり、
「家族は、いない・・・」
と一言だけいって、すぐいつも通りのヒノメに戻ったのだ。やはり、少しまずいことを聞いたらしい。オレはこれ以上このことは、詮索をしないと硬く誓ったのだった。
しかし、ヒノメにはお姉さんがいたなんて・・・
このことは、絶対触れてはいけないことだと色にもわかった。
いろいろ考えているうちに、急にヒノメに引き寄せられた!!!
目の前には・・・ヒノメの胸が♪
(σ・∀・)σ(ご都合主義ばんざぁ〜い☆)
ヒノメは、抱きつき癖があるようだ。口をもごもごさせながら、笑っている♪何かしゃべってるみたいだ。
オレは、このチャンスを逃すべからずと思い!ヒノメの胸に、顔をうずめようとした♪
(きたぁ〜!ご都合主義きたぁ〜♪o(^-^o)(o^-^)o)
その時だ!・・・急にヒノメが寝言で、大きな声を出してしゃべりだした。
「いやぁ〜!!!この虫きらぁ〜い!こないでぇぇぇぇ〜、あっちいけぇぇぇぇぇぇ〜〜〜!!!!!」
その言葉が聞こえた瞬間、ヒノメの腕がオレの体から離れると同時に、大きなハリセンを持った腕がオレに迫ってきた。・・・
こんな密着で避けられるはずがない^^;オレは、直撃を受けた。今までにないくらいの衝撃(ν○'-')=)ζ'):;';
それも、そのはず!
ハリセンで吹っ飛ばされたうえに、吹っ飛んだ先の木に頭を打ち付けてしまった。 ヽ(>□<;)ノ
意識が、遠のいていく・・・ヒノメのおかげで、ぐっすり寝れそうだ・・・(笑)
あと、もう少しで胸に顔をうずめこめたのに・・・と苦やしみながら、色は意識を失った^^;

気が付くと、辺りは少し明るくなっていてヒノメはすでに起きていた。
「おはようですぅ〜勇者さん♪」
こちらに、気づいたのかヒノメは声をかけてきた。
「お・おはよう!」
オレは、すぐに返事を返した。もう、ヒノメは行く気満々のようだ。オレは、さっそく食事をすませるとヒノメといっしょにそこを後にした。
数分歩くと、何か違和感を感じた。もしかして・・・見られてる!?そう不安に感じたオレはヒノメに、聞いてみた。
「ヒノメ・・・もしかしてオレたち誰かに、見られてるかもしれないんじゃないのか!?」
ヒノメの返事は、すぐに返ってきた。
「はい!ずっと見られてますよぉ〜♪ちょうど私たちが、寝ていた場所ぐらいからですぅ☆ヽ(^-^*)ノ」・・・
オレは言葉を失った^^;
「な・な・なぜ!それを早く言わないんだぁ〜!!!」
オレは、少しキレ気味で言った。
ヒノメは、また瞳をうるうるさせている。
「だってぇ〜、勇者さんならもう気づいているかと思ったんですよぉ〜」
「だ・だから言わなくても、いいと思ったんですよぉ〜;;」
ヒノメはちょっとひきつった声で話した。
た・たしかに、あくまでもオレは勇者で、ヒノメはただの案内人・・・オレが普通、先に気づくよな^^;
オレは、ヒノメにすぐ謝った。
ヒノメは、すぐに泣くのをやめた。
オレは、聞いた。
「オレたちを、狙うようなやつがここにはいるのか!?」
「はい♪たくさんいますですよぉ〜♪主に、私たちのお金を盗もうとしている盗賊か、私たちの命をいただいて、魂を食べちゃおうとしている魔物ぐらいですね♪」
笑顔でヒノメは言うヽ(^-^*)ノ
そう話している間に、隠れていた者は出てきた!!!
絵に描いたような魔物だった^^;
トカゲが二本足で立っていて、手には棍棒のようなものを持っている。
《昔よくあるゲームのザコキャラかよ(笑)》と素直に感じた♪
しかし、ここは現実!正直、色はちょっとおどおどしていた。普通なら当たり前である!二本足で立つトカゲなんて初めて見たのだから^^;
いろいろなことを考える間もなく、魔物はすぐにオレたち二人に襲い掛かってきた。オレは、ヒノメを自分の後ろに行かせると、剣をかまえた。魔物が色に近づき、棍棒を振り上げ襲い掛かってきた。
色はそれをきれいにかわし、頭に一撃!!!
魔物は消え去った。なぜ、こんなにもあっさり倒せたかというと・・・
(この主人公!色は、ただのゲームおたくでインドア派の暗い男だと思われがちだが、県大会で優勝したこともあるほどの凄腕の剣道野郎なのだ♪
子供のころから、剣道をやらされており、その反動みたいな感じで今はゲームっ子なのだ。しかし、その腕はまださびてないらしいo(^-^o)(o^-^)o)
あっ!そうそう魔物が、消えた辺りにはお金が落ちていた♪
本当にゲームの世界だと実感した。倒したはずの魔物は、あとかたもなく消えており、その跡にはお金・・・
ヒノメがそのことに驚いていない様子を見ると、これが普通のことのようだ。
あとから聞いた話だが、魔物専門としたハンターなどの賞金稼ぎなどもいるらしい。
まぁ〜、とにかく魔物を倒してほっとしたって感じだ。
ヒノメもニコニコしてこっちを、見ている意味深に・・・そして一言
「勇者さんは、やさしいですねぇ〜♪」
ヒノメが、意味不明な言葉を言った。
オレが、ヒノメになんでやさしいんだ!って聞こうと振り向いた時だった・・・
ヒノメの後ろに、さっきのトカゲもどきが、今にも棍棒をヒノメに振りかざそうとしている最中だった!!!

「ヒノメ!!!危な・・・!!!」


小説トップへ